大阪で、お花のお稽古を嗜んでいた時期があったのだが、お正月、親戚の方が出馬するとか言うことで、娘さんの卒業に合わせて、近所で餅を配ることになったのだが、餅を作るところを経験しない?珍しいよ、何年に一度だけだから、と、お誘いを受け、「行きます。」と、生徒として参加したことがある。
お祖母様が、息子の出征以来だね、お元気?と、私の親戚の方に電話をしているのを聞いたのだが、ものすごく身近な親戚だったらしく、「今、親戚って知ったわ、世間って狭いわね。」と、義務教育からの同級生が目を丸くしていたのを見て、餅が丸く丸めるますように、と、願掛けをしながらの参加。
最後の一個で、失敗したかな、と、ドキドキしたが、正確に時間内に100個丸めることによって、大阪の方にお配りできるほどの数になるとかで、少し穴空いているかも、と、心配そうに裏を返したが、粉つけとけば、わからん、と、言われて、まぁまぁ、安心してご近所に配り歩くお餅の数を100個耳を揃えてお出しした。
この後、100個食べなあかんのよ、と、言われて、「赤ちゃん、ないんすよ。」と、腹を叩くと、「うそうそ。」と言われて安堵。大人のジョークって時々激しいとか、本音を言ってお仕事楽しゅうございました、と、解散。
お誘いくださったお友達が、なんでも英語で満点をとって首席で卒業とのことだったので、お目出度いわね、おめでとう、と、言った後、少しトイレを借りた。
その間、用を足し、ちょっと聞きたいことあるんだけれども、と話しかけられたのが、菅のおじさん、お友達と二人でガースーと呼んていた。お父様のお友達だったのかな?ハゲ頭がちょっと気になるんだが、と言うんで、気になさらないように、との気配りを込めて、ガースーとお呼びしていたのだが…。
どうして英語が喋れるの?と聞かれた。
インタビューだった。
えっ?あっ、あの、私、帰国子女なんで…、帰国子女の枠で入ったんで…、と、言うと、なーんだ、そうか、と、安心。
お父様は、「そうかな?」と不思議がっていた。
あのー、私、中高時代、外から入ってきた子に、ワニと言われていて、というと、「は?」と、振り返られ、「中学のabcを習う時点でもう、アリゲーターとクロコダイルの違いが言えたんですけれども。それで、ワニと。」と言うと、目を点にしていたガースーが、「それで?」と聞いてきた。
言ったことは、ほとんど歴史の先生に言われたことをずっと喋っていたのだが、ガースーはあまり良く分からないというような素振りが見受けられたので、「ラコステのシャツ、あれは、クロコダイルです。」というと、ブランド名から合致し、「あぁ、アレね。」で、ご理解いただけたようであった。
アメリカのテキサスでは、メキシコに隣接していることもあり、金持ちはアリゲーターを好むが、それは大きく、原住民が捕獲して食べるので、ワニの数は資産の象徴。たまに、爬虫類を飼いたいという珍しい人は、小さめのクロコダイルを選ぶので、飼った時点で、何を好んで食べて生きているか分かるので、分別かつくとか、話をしたような気がするが。
奈良県にアフリカのワニを食べさせてくれるレストランがあるのだが、あれは、クロコダイルで、お酒の焼酎にも、ワニのエキスが入っているのがあるよ、とか、友達に言ったら、おじさんのことよろしくお願い致しますと言われて、少しドギマギした。
中等学校の頃は、塾に行っているとは一度も聞いたことがないのに、英語のテストが毎回ほぼ満点だったので、友達が不思議がって、何?と、家族の人に相談したらしい。
突然、あだ名がワニになったのだが、気がついたのが就職した後だった。
そういえば、義務教育の頃、ワニが喋っている、と言うので、新作のアニメの話かな?と、前の席で思ったり、ワニが食べているとか言うんで、「そりゃ、ワニ食べるやろ。」と、生態系のことを気にしていたりしたんだが、徐々に、ワニのことをあまり良くわかっていない私は、外から入ってきた受験組より、レベルが相当低いのかな?と、英語の時間を理科、それも、生物にあてていたので、ワニに対しては一通り頭の中で知識は豊富のうちの一人だろう、と、安心しているのも束の間、ワニがトイレに行く、水洗式かな?とか、言われると、「ワニって、淡水だっけ?海水だっけ?」とか、本物のワニの砂漠での生態系を知りたいがために、外国にいたお友達に手紙を書いて、「ナショナル・ジオグラフィックの特集をワニにしてくれ。」とか、「ワニの酒か、標本ないかな?」と、家に帰ると抑えきれない涙をちょちょぎれるまで出して、英文で手紙を書いて、せびると、ワニではないが、カエルの解剖セットを送ってきたことがあって、ホルマリンも梱包されていて、「これで満足した?」とお返事も添えてのXmasプレゼントであった。
お返しに今治のゆるキャラの原型である、ひよこのスケッチを送って、「勉強してます。」と、あしながおじさんとおばさんに、お礼の手紙を書いたのだが、しばらく解剖セットを見ているうちに、
ワニのことなどすっかり忘れている自分がいたりして。
同じ頃、高等学校の2年生に、「私もワニの仲間に入れて。」と言ってきたテニス部の部長がいたが、「私もなんで塾に通ってないのに、英語が話せるか同じ組の子にすごーく不思議がられて。」と言うんで、「帰国子女じゃないんですか?先輩?」というと、「そんな…ワニって呼んで。」とかで、サークルが出来上がったらしい。
英語劇の大会を毎回毎年今頃の時期開催して、同時に英語の、スピーキングコンテストの、出場者を決めるのだが、「部外者でありますように。」との願いがあったので、司会者ということで…と、決められたこともあった。
司会者のメリットってなんなん?と、忖度が激しく、損得のことばかりブーブー言っていたので、ワニと呼ばれた先輩が、「私、今年、出し物で目立つねん。」とか言うんで、「期待してます。」と言ったら、「本気と思ってないでしょ?」と言われ、「いや、本気ですから、期待してますから、念押しですよ、これ。」と毎年のギャグをやるんだろ、と、期待もなしに一連のワニ先輩の英語劇の出し物を見ていたら、かなり精密に段ボール箱で作った緑色のワニのキグルミをきて登場し、英語の誰でもわかるギャグを、一発かまして、退場したので、そこはわかる私は司会者とはいえ、身分を忘れて、マイクの前で大声でゲラゲラ笑ったのだが、私が笑った時点で、ギャグと気がついた同級生が、「説明して。」と言うんで、200文字の小論文にまとめて説明したところ、先輩のコスチューム、後ろ前が逆やってん。というところで、ワニの言っていることは正解やろと、ほぼ笑いをかっさらって、英語劇は大成功を収め、再演も決定したこともあった。
大体のワニらの、勘違いは、今になったら分かるというオトナになった同級生が、アニメの日常を見て、はいはい、と、言う人もいるらしいが、高等学校に上がった最初の世界史の先生の授業で、「日本史の問題ですが、日本人はなんと昔呼ばれてましたか?」という問いに、実経験上、「ワニ」と、ふて寝する前に答えると、「はい、そうです。」と言われて当ててしまい、授業で眠れなくなってしまったこともあった。
正確には「和邇」なのだが、ワニと聞くと、ワニが喋っている、と言われていた中等学校の頃を思い出してしまい、なぜワニなのか、と、考えがリセットされてしまうのである。
ワニは外国語と母国語を話せるのでバイリンガルらしい。
今でも時々動物園でワニをみると、「あれって、悪口だったのかな?いい意味だったのかな?」と、時々気づく。